後援:日本栄養士会・農林水産省


- 地域の食文化について深く考察されており、食文化としてのいもの子汁の重要性が伝わってきます。
- 調理方法などにより、地域の特産物である里芋の長所を引き出しています。
- だしをとらず、昔ながらの水で煮る作り方にしたことにより、料理に慣れていない世代でも手軽に作ることができると感じました。
- うま味調味料の活用により、野菜のくせを抑え、おいしく減塩することができています。


- だしを使用せず水で煮る昔ながらの方法をとり、うま味調味料を加えて煮ることで、野菜の風味を生かし、減塩する際にもおいしさに繋がると考えました。
- うま味調味料によりごぼうのえぐみ、においを抑えることにより、里芋のおいしさを生かすことを考えました。
- 【 結 果 】
- うま味調味料を加えて煮ることで、ごぼうのえぐ味を抑え、食べやすくすることができました。
- 総合評価では、減塩しても、うま味調味料を使用することで、伝統的な郷土料理のおいしさに近づけられることが分かりました。

- 昔ながらの水で煮る方法は、料理に慣れていない人でも作りやすいと考えました。
- ぬめりが汁に出ることによって、里芋本来の持ち味が損なわれないよう、加熱し始めたらすぐにしょうゆで調味する方法で調理しました。
- いもの子汁は、みそと醤油の2つの調味がありますが、若い世代の好みを考慮し醤油で調味しました。
- いもの子汁の具は、シンプルなものから多くの種類を使う場合まで幅広く、今回は若い人から高齢者までどの年代の人の健康にも配慮した一品とするため、ごぼうやにんじんなども加えました。

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材料名 里芋 水 うま味調味料 濃口しょうゆ ごぼう にんじん まいたけ こんにゃく 鶏肉 木綿豆腐 ねぎ 塩 TOTAL 塩分 減塩率 -
【A伝統レシピ】 【B 減塩レシピ】 【C 減塩レシピ+うま味調味料】 配合 塩分 配合 塩分 配合 塩分 60g - 60g - 60g - 150g - 150g - 150g - - - - - 0.3g 0.09g 18g 2.2g 11.5g 1.4g 11.5g 1.4g 15g 0.01g 15g 0.01g 15g 0.01g 20g 0.02g 20g 0.02g 20g 0.02g 20g - 20g - 20g - 30g 0.01g 30g 0.01g 30g 0.01g 40g 0.04g 40g 0.04g 40g 0.04g 45g 0.07g 45g 0.07g 45g 0.07g 22.5g - 22.5g - 22.5g - 0.2g 0.2g 0.2g 0.2g 0.2g 0.2g 2.55g 1.75g 1.84g 31% 28%

- 里芋はひと口大に切る。ごぼう、にんじんはささがきにし、水にさらしてあくを抜く。まいたけは食べやすい大きさに手でほぐす。こんにゃくは5cm長さの太いせん切りにする(突きこんにゃく、糸こんにゃくでもよい)。鶏肉は2cm角に切る。豆腐は1.5cmのさいの目に切り、ねぎは斜め薄切りにする。
- 里芋を水に入れて火にかけ、うま味調味料を加え、ぬめりが出ないうちにしょうゆを加え、弱火で煮る。
- 里芋が半煮えの状態になったら、ごぼう、にんじん、まいたけ、こんにゃく、鶏肉を加える。
- 里芋がやわらかくなったら、豆腐、ねぎの順に入れて、塩で味を調える。

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いもの子汁は、秋が来たことを告げ、食べ終わる頃には冬が近いことを知らせる「里芋」という地元の食材を、山のきのことあわせて作る郷土料理です。北国の厳しい冬を前に身体を温め、人との暖かい交流の場を作り出し、寒い冬に向かう気持ちをほっと和ませ、心を豊かにしてくれる食べものです。
おいしい地元の里芋とともに、岩手の「いもの子汁」を次世代に伝えていきたいと思います。そして、岩手以外の地でもその魅力を伝えられたらうれしいです。
▲ 岩手県立大学 盛岡短期大学部
料理減塩研究チームの皆さん-
昭和初期における岩手県三陸沿岸の食生活に関する記録に、玉味噌に水と昆布を加え、加熱して布で漉したものや、それを煮詰めたものを調味に用いていたとの記述があります。ひと手間かけてうま味を抽出し、料理(食材)をよりおいしくしようと工夫した先人の知恵がうかがえます。昆布だしをきかせた工夫は、うま味調味料がまだ一般に普及していなかった時代の人々の、確かな舌がつくり出した素晴らしい知恵ではないかと、今回の取組みを通して考えました。
うま味調味料のうま味も日本料理に合ううま味であり、減塩のために醤油のうま味が減った場合などに、それを補い料理のおいしさを維持できる可能性があると感じました。