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郷土料理、減塩

2022年03月24日 UP

食塩相当量(1人分)

0.5g 減塩率49%(対伝統レシピ)

うま味調味料ポイント!

• まんじゅうの皮に加える食塩を減らし、低核酸系うま味調味料を加えた。
• 豚の角煮に加える濃口しょうゆを減らし、高核酸系うま味調味料を加えた。
• 減塩でも皮の味のおいしさと食感のふわふわ感を両立できるよう、塩分とうま味調味料の量を調節した。
※ 味覚評価の結果、『うま味調味料活用減塩レシピ』は『伝統的なレシピ』と同じくらいふわふわで味もおいしく感じられたことから、うま味調味料が味だけでなく食感にも、感覚的に何らかの影響を与えている可能性があると考えられた。

◉第6回「うま味調味料活用! 郷土料理コンテスト」2021 うま味活用賞

チーム:長崎女子短期大学古賀研究室
所属 :長崎女子短期大学 生活創造学科 栄養士コース

審査員コメント・受賞チームの味覚評価結果はコチラ

材料10人分

〈饅頭の皮〉

  • 中力粉

    300g

  • 40度の温湯

    160ml

  • ドライイースト

    6g

  • 砂糖

    15g

  • 1g

  • サラダ油

    20g

  • 低核酸系うま味調味料(A)

    小さじ1/3

〈豚の角煮〉

  • 豚ばら肉

    300g

  • 根深ネギ

    25g

  • しょうが

    13g

  • 1250ml

  • 焼酎

    750g

  • 紹興酒

    110g

  • しょうゆ

    大さじ1強

  • 高核酸系うま味調味料(B)

    小さじ1/3

  • 八角

    2g

  • シナモン

    2g

  • 砂糖

    大さじ3弱

  • かたくり粉

    小さじ2

  • 大さじ1/2

  • ほうれん草

    100 g

  • 練り辛子

    小さじ1

◉工夫ポイント

• 昔ながらの角煮のレシピではかなりきつく香辛料が効かせてあるが、これは豚肉の臭みを消すことが目的だと思われる。
現代のように適切に処理・保存された豚肉は、昔に比べて臭くなくなってきていることも踏まえ、現代人の好みに合うようにするために、八角やシナモンなどの香辛料の量を減量した。
• 減塩でもおいしく食べられるよう、焦がさないようにしっかり煮詰めてから水溶き片栗粉でとろみをつけ、煮詰めた煮汁が角煮によく絡むように工夫をした。

作り方

  1. クッキングシートは幅30cmのロールから15cm長さに切ったものを、10枚用意する。

     

  2. ボウルに、温湯、ドライイースト、砂糖、塩、低核酸系うま味調味料(A)を入れ、混ぜる。

  3. 振るった中力粉に、②を加えよく混ぜ合わせ、サラダ油を加え10分くらいこねる。
    ※初めはボウルの中で混ぜ、ある程度まとまるまでこねてから、台に出してさらにこねると作業しやすい。

  4. 生地を丸めて、ぬれ布きんをかぶせて、オーブンを40℃に設定し30分発酵させる。
    ※ぬれ布巾はラップでも代用可。

  5. 発酵した生地を10等分に切りわけ、10枚のクッキングシートにのせ、麺棒で15~18cm×10cmの楕円形に伸ばし、中心を少し凹ませる。40℃に設定したオーブンに入れ、15分2次発酵させる。
    ※中心の折れ線部分を凹ませておくことで、角煮をはさみやすい生地になる。

  6. せいろ又は蒸し器に移し、強火で10~15分蒸す。
    ※蒸し器が小さい場合は、のばした生地の表面に薄くごま油をぬり、その表面が内側になるように2つに折って蒸してもよい。

  7. 豚ばら肉と根深ネギ、しょうが、水、焼酎を入れアクをすくいながら2~3時間下茹でする。

  8. ⑦をそのまま冷やし、肉を取り出し、肉を湯で洗って1~1.5㎝の厚さになるように切る。

  9. 下茹でに用いた煮汁を冷えたまま濾しネギ、しょうが、脂をのぞいたものに、紹興酒、しょうゆ、高核酸系うま味調味料(B)、八角、シナモン、砂糖を加えて、⑧を60分ほど弱火で煮込む。

  10. 煮汁に水溶き片栗粉でとろみを付ける。ほうれん草は下茹でし絞っておく。

  11. ⑥の饅頭の皮に豚の角煮とほうれん草をのせ、煮汁をかけ、練辛子を好みで添える。

     

    【伝統レシピの調理手順】
    ※うま味調味料使用の有無以外、同じ調理手順。

長崎の郷土料理「角煮まんじゅう」の特徴 (応募レポートより)

●地域
長崎県長崎市

●季節
特になし

●食す機会
角煮まんじゅうは、長崎の伝統的な料理形式で冠婚葬祭の際に食される卓袱料理において提供される料理の一つです。卓袱料理において豚の角煮(東坡煮)が提供される際に、まんじゅうの皮が一緒に提供されたことから生まれた料理とされています。その美味しさと手軽さから今では街中やイベント会場でテイクアウト販売されたり、長崎のお土産になったりしています。

●由来
 この豚の角煮は中国浙江省の名物料理の一つで、中国北宋代の詩人「蘇東坡」が好んで食べたので東坡肉(トンポーロウ、とうばにく)とも呼ばれています。この東坡肉は九州沖縄の各地に伝わり、長崎では“東坡煮(とうばに”、沖縄では琉球王朝の宮中料理でもあった“ラフテー”、鹿児島では黒砂糖と薩摩焼酎で煮込む薩摩料理の“とんこつ”として各地で今でも食されています。
長崎に伝わった東坡煮は卓袱料理に取り入れられ、今では卓袱料理を代表する一品となり、長崎の結婚式や宴会の席でも提供されるようになりました。この東坡煮をもっと多くの人に気軽に食べてほしいと平成になってから作られたのが角煮まんじゅうです。この角煮まんじゅうはファストフード感覚で角煮が食べられることが受け、今では長崎を代表する料理やお土産の一つになっています。

●食材
長崎は江戸時代から多く中国の人が多く在住しており、多い時には長崎の人口7万人に対して、1万人程度の中国人が長崎市中に在住していたときがありました。1689年に唐人屋敷が出来るまでは長崎市民と中国人は一緒に暮らしていたため多くの中国文化が長崎に伝わりました。
この角煮まんじゅうでは、豚の角煮の調理に日本ではあまりなじみのない八角や肉桂等の香辛料や、中国のお酒である紹興酒等を使用しています。

●参考資料
・ 嘉村国男 1988 長崎辞典 風俗文化編 長崎文献社  ・ 脇山順子 2005 長崎料理―百花繚乱ふるさとの味 長崎新聞社
・ 越中哲也 1995 長崎純心大学博物館研究第四輯 長崎学・食の文化誌 長崎純心大学博物館
・ 越中哲也 2002 長崎純心大学博物館研究第11輯 長崎学・續々食の文化誌 長崎純心大学博物館