うま味調味料のことなら、ここにおまかせ 日本うま味調味料協会

減塩サクセス賞

チーム農製'sキッチン京都大学 大学院 農学研究科
食品生物科学専攻 農産製造学分野

鯖寿司(京都)

鯖寿司(京都)

受賞者からのコメント

伝えていきたい鯖寿司

鯖寿司は、京都が「食」に注ぐ愛と情熱の結晶です。京都は「鯖街道」という物流ルートの終着点です。冷蔵保存ができない中、鯖を食べたいと考えた京都の人々が頼ったのが塩でした。腐りやすいとされる鯖を塩漬けにすることで、漁獲地の福井から京都までの長い道のりを乗り越えさせたのです。

しかしながら、現在特に若者世代で魚離れが進んでおり、鯖の購入量は年々減少しています。また、減塩の意識が高まる中で、塩分の多い料理は敬遠される傾向があります。そこで、うま味を強めることで幅広い世代が楽しめ、かつ減塩できる鯖寿司のレシピを提案することで、これらの課題を解決しました。京都が誇る料理の素晴らしさを実感して欲しいです。

郷土料理の伝承と
うま味調味料の可能性

私たちが本大会で得た最大の気づきは、郷土料理と現代の技法を掛け合わせることの重要性です。今回提案したレシピでは、鯖を塩漬けしないことで生じる水っぽさ・食中毒のリスクを脱水シートや低温冷凍によって解決しました。伝統料理の技法をただ再現するだけではなく、その根底にあるエッセンスを理解して、新たな技法も取り入れていく姿勢には大きな意義があると考えました。

特に今回は、うま味調味料を使うことで満足感を保ちながら塩分を減らせることを体感しました。特に興味深かったのは、ただ塩を減らしたレシピでは甘味・酸味まで弱く評価されたことです。うま味は塩味を強めるだけではなく、食品の味わい全体を底上げする力があることを知りました。

今回の学びから、うま味調味料に代表される現代の技術と伝統を組み合わせた《新しい伝統》の可能性を見出しました。次世代の食文化の担い手として、今後も伝統文化の発展と伝承に努めていきたいです。

審査員総評

  • 伝承性
  • 新世代へのフィット感
  • うま味調味料の活用度
  • 受賞作品の特徴

受賞チームの味覚評価結果紹介

伝統的なレシピと減塩レシピ(うま味調味料活用)を比較すると減塩率54%伝統的なレシピと減塩レシピ(うま味調味料活用)を比較すると減塩率54%

うま味調味料の活用ポイント

おいしく減塩するために
工夫したところ

  • 鯖のイノシン酸とうま味調味料のグルタミン酸を掛け合わせることで、うま味の相乗効果を引き出しました。
  • 酢飯を作る時にうま味調味料を加えることで、減塩しても物足りなさを感じさせないようにしました。
  • 煮切り醤油にうま味調味料を加えることで、醤油のコクを増しました。

次世代に伝えていくために
工夫したところ

  • うま味調味料を脱水過程の一部に取り入れることで鯖の生臭さをより低減し、普段あまり魚を食べない人でも受け入れやすくしました。
  • 酢飯にうま味調味料を用いることでまろやかな風味に仕上げ、普通の酢飯は塩辛い・酸っぱいと感じる人でも食べやすく工夫しました。

うま味調味料の活用以外のポイント

おいしく減塩するために
工夫したところ

  • 主に市販の脱水シートを用いて水抜きを行うことで、食塩を使った脱水法よりも塩分量を減らすことに成功しました。
  • 醤油ではなく、煮切り醤油を用いることで、塩分量を減らしまろやかに仕上げました。

次世代に伝えていくために
工夫したところ

  • 大葉を酢飯に加えることで爽やかな香りを加え、青魚が苦手な人でも食べやすくしました。
  • 冷凍技術が発達した現代だからこそ、サバを塩漬けにしなくとも輸送できるという点に注目し、鯖寿司の調理法の可能性を広げました。
  • 煮切り醤油を作る際、鍋を使わずとも電子レンジで手軽に作ることができるという点に注目しました。

材料

※伝統レシピのしめ鯖は、塩による脱水が含まれるので、正確な塩分量を見積もるのが難しいく、食品成分表示から算出しました。

※うま味調味料は、高核酸系うま味調味料を使用。

作り方

  1. 【しめ鯖】生食用の鯖に高核酸系 うま味調味料(A)をふりかけ、食品用脱水シートで包んで30分冷蔵庫で脱水する。
  2. 脱水した鯖の表面を軽く水洗いし、キッチンペーパーで水気を拭いた後、保存容器に入れ、鯖がヒタヒタになるまで酢を注ぐ。
  3. 冷蔵庫で30分間寝かせたら保存容器から取り出し、水気を拭き取る。
  4. 【酢飯】酢、砂糖、塩、高核酸系 うま味調味料(B)を混ぜ合わせる。溶けにくい場合は、軽くレンジで温める。
  5. 炊飯器の「酢飯・カレー用」の目盛りに合わせて炊飯し、④で作った合わせ調味料を少しずつ加え、切るように米を混ぜる。水気が多ければ、うちわで扇いで水分をとばす。
  6. こまかく刻んだ大葉を⑤に混ぜ合わせる。
  7. 【煮切醤油】酒、みりん、高核酸系 うま味調味料(C)を混ぜ合わせ、電子レンジ(600W)で30秒×2回かけてアルコールを飛ばす。
  8. ⑦の粗熱を取った後、醤油を加える。
  9. 【寿司】巻きすの上にラップを敷き、しめ鯖の皮が下になるように置く。酢飯を均等にのせて、手前からきつく巻く。巻きすを一度はずし、両端のすし飯を内側に押し入れて、再び巻きすで巻く。
  10. 冷蔵庫で30分以上おく。
  11. 包丁で食べやすい大きさに切り分ける。(軽くぬらした包丁で切ると米が刃にくっつきにくい)

〈伝統レシピの調理手順〉
① 伝統的な調理手順では、脱水シートではなく、塩漬け(塩サバ)にすることで、脱水を行う。(サバの全面が覆われるくらいの食塩を振り、冷蔵庫で一時間置く。)
⑥ 伝統的な調理手順では、大葉を入れずに酢飯を作る
⑦~⑧ 伝統的な調理手順では、みりんなどを加えない醤油を用いる。

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