うま味調味料のことなら、ここにおまかせ 日本うま味調味料協会

奈良県内の大学に通い、食について学ぶ中で、奈良県の伝統料理である「奈良和え」を知りましたが、全国的に知名度が低いと感じました。また、奈良和えの最大の魅力は「奈良漬」が使われていることですが、大学生の私たちにとって漬物は身近なものとは言い難く、近年国民の食塩摂取量減少が掲げられる中で、塩分が多い食品として敬遠されています。
そこで、うま味調味料を活用した手作りの奈良漬を考案するとともに、奈良和えに含まれるあらゆる食材に対してうま味調味料の効果を与え、おいしく減塩する工夫を行いました。家族団らんの食卓を彩る、素朴でおいしいご飯の御供の「奈良和え」を、自信を持って全国にアピールしたいです。

奈良和えの魅力を伝えるにあたって、「減塩という現代のニーズに応え、手軽で身近なものへと進化させたい」という想いと、「先人たちの知恵や手法を途絶えさせることなく、伝統的なレシピに敬意を持って、古き良き味を伝えたい」という両極端な想いがありました。これらの葛藤を解決したのが「うま味調味料」です。減塩食は薄味であるという固定観念を覆し、美味しさ、やわらかさ、甘み、深みなど、様々な効果を生み出してくれました。手間のかかる作業を簡単にする効果もあり、忙しい現代人が郷土料理を楽しむためにも欠かせないと感じています。
今回「うま味」について学んだことで、伝統料理本来の良さや特性を尊重しながら、時代に合ったアレンジができました。病気で塩分制限が必要な人に懐かしい郷土料理を再び味わってもらえたり、日本だけでなく世界の料理に活かしたり、うま味調味料にはまだまだ多様な可能性が秘められていると感じています。

  • 伝統的な奈良づけを他の食材と和えた、優れた料理である。(日本栄養士会会長 中村 丁次先生)
  • 「奈良和え」は親しみやすい家庭料理であり、学校給食でも人気のあるおかずでもある。奈良県内で愛される伝統料理ではあるが、郷土料理として全国区ではないことから、現代のニーズに合うよう減塩し、全国に奈良県の伝統をアピールすることを考えている。(鎌倉女子大学 家政学部管理栄養学科 学科長 中谷 弥栄子先生)
  • 漬物を使った郷土料理の減塩に取り組んだ点。(長野県立大学 健康発達学部食健康学科 学科長 中澤 弥子先生)
  • 原型を守りつつさまざまなアプローチで工夫している点が面白い。(女子栄養大学出版部「栄養と料理」浜岡 さおり編集長)
  • 奈良漬けは知っていても奈良あえは知らない人は多いはず。しかしどの郷土か間違えようがない、とても魅力的で説得力がある名前。((株)NHK出版「きょうの料理ビギナーズ」米村 望編集長)
  • 奈良漬けから手づくりするというトライは評価するものの、かえって手のかかるメニューというデメリットも感じた。((株)オレンジページ「オレンジページ」鈴木 善行編集長)
  • 和え物にして新世代にフィットさせている。(中村先生)
  • 奈良漬けを漬ける際、うま味調味料を使用したことにより、まろやかな風味に仕上がり、奈良漬を知らない人にも食べやすくなっている。油揚げの油抜きに電子レンジを使用したことにより、湯を沸かす手間がなくなった。(中谷先生)
  • きゅうりを減塩してうま味調味料と酒粕などでおいしく漬けた手作り奈良漬を工夫した点。(中澤先生)
  • 調理過程について、現代の身近な調理法に置き換え、手順が見直されているほか、視覚的にも工夫されている。(浜岡編集長)
  • 奈良漬けを手づくりするのは、家庭ではややハードルが高いが、どうやってつくるかを知ることは意義がある。そのうえで市販の奈良漬けを使えば、極めて簡単で、しかもいろいろな可能性が感じれる。(米村編集長)
  • 奈良漬けから手作りすることで、味の濃すぎない、若い世代にも受け入れられやすい味わいを実現したこと。(鈴木編集長)
  • 特長のある奈良づけの味を、うま味でまろやかにしている。(中村先生)
  • 鶏肉やこんにゃくのアク抜きにうま味調味料を使用し、臭みを抑え、うま味を引き立たせることができた。うま味調味料の使用により、椎茸のグアニル酸との相乗効果が生まれた。(中谷先生)
  • こんにゃくは下茹でするので塩分はもう少し減少しているかもしれません。(中澤先生)
  • 漬物、下味、調味と、過程に合わせてよく検討されている。(浜岡編集長)
  • 鶏肉、にんじん、しいたけ、こんにゃく。それぞれの素材に対する、それぞれのうま味調味料の役割があり、しかも総体で確かな減塩を獲得している。(米村編集長)
  • 半量程度の減塩、素材の下処理への活用で味のバランスを取っている点。何より、奈良漬けそのものをあっさりとした味わいに仕上げた点を評価する。(鈴木編集長)
  • 奈良漬を漬け込むときに、漬物樽ではなく、密閉ビニール袋などを使用したことは、手軽さだけではなく省スペースにもつながる。(中谷先生)
  • 漬物を利用する人気の郷土料理を取り上げたところ(中澤先生)
  • 奈良漬けを手軽にした点。+彩り(浜岡編集長)
  • 間違いようがない郷土性!(米村編集長)
  • あっさり、まりやかな味わいの減塩奈良漬け自体が新名物になりそう。(鈴木編集長)

  • 鶏肉にうま味調味料で下味をつけることで、臭みを抑えてうま味を一層引き立たせ、食感のしっとり感も向上するようにした。
  • 調味時にうま味調味料を加えることでにんじんの甘みを強め、優しく柔らかな食感にした。
  • 調味時にうま味調味料を加えることで、角張っていた一つ一つの具材の味に調和を持たせた。また、干ししいたけのもどし汁だけでは荒く物足りなかったが出汁風味が、うま味調味料によって相乗効果を発揮し、まろやかな味付けとなるようにした。

  • こんにゃくのアク抜きをするために塩もみをするが、塩の一部をうま味調味料に置き換えることで、減塩しつつさらに臭みを和らげ、うま味が感じられるようにした。
  • 手作りの奈良漬けは市販の物よりもあっさりしており、うま味調味料を使用したことでまろやかな風味に仕上がった。そのため独特な風味のイメージを持っている方や、奈良漬けを知らない方でもチャレンジしやすいようになっていると思う。

  • 私たちの中にあった「漬物は漬物屋で作られるもの」「漬物だから塩分が多くて仕方ない」という意識を覆し、自分たちで作ってみることで最大限まで減塩に挑戦することができた。

  • 「漬物は簡単に作ることができる」ということを伝えるため、密封ビニル袋等の身近なものを用いて実践した。
  • 油抜きはお湯をわざわざ沸かすのが手間だが、電子レンジで行い、時短になるように工夫した。
  • 「煮物は茶色くて地味」という印象を変えるため、大和まなで彩りを加え、写真に撮っても美しい見た目を楽しめるようにした。

下記の表は左へスワイプしてご覧ください。

A
伝統レシピ
(1人分)
B
減塩レシピ
(うま味調味料不使用)
(1人分)
C
減塩レシピ
(うま味調味料活用)
(1人分)
C
減塩レシピ
(うま味調味料活用)
作りやすい分量
(4人分)
材料名 分量
塩分
(食塩相当量)
分量
塩分
(食塩相当量)
分量
塩分
(食塩相当量)
分量
ゼンマイ 25g 25g 25g 100g
かんぴょう 2.5g 2.5g 2.5g 10g
干しシイタケ 4g 4g 4g 16g
にんじん 10g 10g 10g 40g
うすあげ 5g 5g 5g 20g
こんにゃく 12.5g 12.5g 12.5g 50g
0.33g 0.33g 0.28g 0.28g 0.28g 0.28g 1g
低核酸系うま味調味料(A) 0.05g 0.015g 2ふり
鶏肉 20g 20g 20g 80g
高核酸系うま味調味料(B) 0.05g 0.015g 2ふり
砂糖 5g 5g 5g 大さじ2
みりん 1g 1g 1g 小さじ2/3
サラダ油 1g 1g 1g 小さじ1
干しシイタケのもどし汁 20g 20g 20g 80g
うすくち醬油 5g 0.8g 2g 0.4g 2g 0.4g 小さじ1・1/3
高核酸系うま味調味料(C) 0.05g 0.015g 2ふり
奈良漬け(市販品) 10g 0.42g
減塩手作り奈良漬け 10g 0.1g 10g 0.11g 40g
大和まな 5g 5g 20g
減塩手作り奈良漬けの材料名 分量
塩分
(食塩相当量)
分量
塩分
(食塩相当量)
分量
塩分
(食塩相当量)
作りやすい分量
(きゅうり1本分)
きゅうり* 10g 10g 100g(1本)
塩* 1g 1g 10g
酒粕* 18g 18g 180g
砂糖* 6g 6g 60g
みりん* 3g 3g 小さじ5
低核酸系うま味調味料* 0.1g 0.03g 10ふり

※出来上がった「減塩手作り奈良漬け」の食塩相当量は、塩分濃度計で測定を行った値を記載。

※「*」付きの材料は「減塩手作り奈良漬け」の材料。

※うま味調味料は、低核酸系うま味調味料と、高核酸系うま味調味料とを使い分けた。

  1. こんにゃくは短冊切りにして、塩と低核酸系うま味調味料(A)で揉み、1分ほど下茹でする。
  2. かんぴょう、干ししいたけを水でもどし、かんぴょうは3cmの長さ、しいたけは細切りにする。しいたけの戻し汁はとっておく。
  3. 鶏肉は一口大に切り、高核酸系うま味調味料(B)を振りかけて揉みこんでおく。
  4. 奈良漬けは酒粕をぬぐい取り、食べやすい大きさに切る。
  5. にんじんは短冊切りにする。ゼンマイは水をきり、食べやすい長さに切る。
  6. うすあげは濡らしたキッチンペーパーで包み、電子レンジで500wで30秒に設定して油抜きし、短冊切りにする。
  7. 大和まな(今回使用するのは葉のやわらかい部分)も3cm角ほどの食べやすい大きさに切る。
  8. 鍋にサラダ油を熱し、奈良漬と大和まな以外の材料を軽く炒める。
  9. 鍋に、しいたけの戻し汁と、砂糖、みりん、うすくち醤油などの調味料、高核酸系うま味調味料(C)を加え、煮含める。
  10. 煮汁がなくなってきたら味を調え、手作り奈良漬と、大和まなを入れて、全体に馴染むまで和える。

<減塩手作り奈良漬の作り方>
①きゅうりと塩をビニール袋に入れて混ぜ、7~10日間、重石をして芯をくたっとさせる。 ②水分が出たきゅうりを半日程、陰干しする。 ③調味料と酒粕を混ぜ合わせる。 ④干したきゅうりと③の半量をビニール袋に入れ、1週間置く。残りの③の半量は別のビニール袋に入れ保管しておく。 ⑤きゅうりを取り出し、④で保管して置いた方へ漬け替え、さらに1週間置き、やんわりと風味のついたあっさり奈良漬になっていれば完成。

※ビニール袋はチャック付きの密閉できるものを使用。

<伝統レシピの調理手順>
伝統的な調理手順では⑥は電子レンジは使用せずに熱湯をかけて油抜きを行う。また①・③・⑧でのうま味調味料は使用しない。④の奈良漬けは伝統的なものでは市販のものを使用し、減塩レシピでは手作りしたものを使用する。