香川調理製菓専門学校 / 福岡女子大学博多の料理発掘したいっ隊

涼風がふき始める頃博多では、一ヶ月遅れの10月9日に重陽の節句を祝います。重陽の節句は日本の五大節句の最後を締めくくる行事でしたが、今では影をひそめています。「ざくろなます」は、栗と小豆のご飯、かまぼこのお吸い物に菊酒を添えいただく行事食の一品で、豪華絢爛ではありませんが、深まる秋を愉しむ粋な料理といえます。ざくろは今では高級果物となっていますが、かつて博多の庭に自生しているが如く植えられ、身近な果物でした。白い大根に、ざくろの甘み、宝石のような彩り、昆布のうま味など五味五感を生かしながら塩分をカバーしている点を含めて、不足しがちな野菜や果物をとれる一品として、令和の時代に伝えたいと思います。

郷土料理には、地域の野菜を上手に使う料理が多くありますが、野菜が不足している若者世代は、調理に簡便さを求める傾向や調理法がわからないなどの理由から郷土料理を調理して食べる食生活から遠のいていると考えられます。また、野菜料理を増やすと味付けの点から食塩摂取量が高くなり、減塩の工夫が必要です。そこで私達は、若者の関心を得るために簡単でインスタ映えする「ざくろなます」に注目しました。
減塩のために無塩で調理したところ、大根が硬く辛味やえぐ味を感じました。そこで、下処理にうま味調味料を加え電子レンジで短時間加熱したところ、軟らかく味がまろやかになりました。合せ酢は、うま味調味料のグルタミン酸とシラスのイノシン酸のうま味の相乗効果を活かし、1食当たり0.8gの減塩に成功しました。うま味調味料を使った減塩で美味しい「ざくろなます」を多くの人にぜひ作っていただき、うま味の減塩効果を体感していただきたいと思います。

  • 深まる秋を愉しむ、博多に伝わる重陽の節句の行事食として伝承していってほしい料理です。重陽の節句にざくろなますの料理は美しく、優雅さがあり、令和に受け入れられる可能性を感じました。
  • 彩りが美しく、見た目も現代的。盛り付けの工夫や、電子レンジを活用する調理の工夫もあり、次世代にも受け入れられやすいと考えます。
  • 塩もみの代わりに大根にうま味調味料を振って電子レンジにかけて脱水し、合わせ酢にも加えるなど、シンプルですが、効果的にうま味調味料を活用しています。
  • 合わせ酢は一般的に塩分が高くなりがちですが、うま味調味料を活用することでおいしく減塩できる好例であると感じました。いろいろな料理に広く応用できるものと考えます。
  • しらすを合わせ酢に漬け込み、素材の塩分を調味に活かす工夫も独自性があり評価できます。

  • 大根にうま味調味料をかけて電子レンジで加熱しました。
  • 合せ酢の塩の代わりにうま味調味料を用いました。

  • インスタ映えする彩りで次世代を引きつけるように工夫しました。
  • 大根の持つ味のばらつきをうま味調味料で均一化しました。

  • 湯通ししたしらすを合わせ酢に漬け込むことでシラスの塩分を有効に活用しザクロなますの塩分としました。
  • レシピを伝承するほかに、食環境を整えることや行事を語り継ぐ事も併せて伝承したいと思います。
  • 塩蔵品は塩分があるから使わないのではなく、調理を工夫をすることで、素材の長所を生かして利用することができます(塩を減らして、カルシウムはとる)。しらすを使うことの食文化も大切にしていきたいと思います。

A
伝統レシピ
B
減塩レシピ
C
<うま味調味料活用>減塩レシピ
材料名 配合 塩分 配合 塩分 配合 塩分
大根 50g 50g 50g
0.5g 0.5g
うま味調味料 0.1g 0.03g
しらす(微乾燥品) 5g 0.21g 5g 0.14g 5g 0.14g
ざくろの実 20g 20g 20g
4g 4g 4g
砂糖 0.5g 0.5g 0.5g
だし(昆布だし) 4g 0.01g 4g 0.01g 4g 0.01g
薄口しょうゆ
(100ml食塩相当量18.3g)
0.2g 0.04g 0.2g 0.04g 0.2g 0.04g
みりん(煮切りみりん) 1g 1g 1g
0.3g 0.3g
うま味調味料 0.1g 0.03g
TOTAL塩分 1.06g 0.19g 0.25g
減塩率 82% 76%

  1. 千切りにした大根を耐熱ボウルに入れ、うま味調味料をふり、電子レンジで10~20秒加熱し、水気を絞る。
  2. しらすをザルに入れてに熱湯をかけ、湯を切る。
  3. ボウルに、酢、砂糖、だし、薄口しょうゆ、みりん、うま味調味料を入れて混ぜ合わせ、合わせ酢をつくる。
  4. ❸に❷のしらすを加え、10分ほど浸しておく。
  5. ❹にざくろの実、❶の大根を加え、混ぜ合わせる。